吉本ばなな「満月」
うなぎパイを買って帰りたい相手はいますか?
KOGIです。
さてさて皆さんは
吉本ばななさんの「キッチン」、読んだことありますか?
吉本ばななさん、特に「キッチン」となれば世界的なベストセラー小説ですよね。
簡単にあらすじを言うと、
唯一の肉親であった祖母を亡くし、
祖母と仲の良かった雄一くんとそのお母さん(実は父親)の家に同居することになったみかげちゃんが、
日々の暮らしの中、何気ない二人の優しさに孤独な心を和ませていくお話
です。
吉本ばななさんの文体は、みずみずしくて、透明感があって、とてもやさしくて、
答えは教えてくれないけれど、ただそこにいて、ん?って答えてくれるような関係に、
寂しさなのか安心なのか、救いなのか引力なのか、
とにかく涙の伝うままに泣きたくなるようなお話でした。
今回ご紹介したいのは、この
「キッチン」の後日譚?「満月」です。
導入としては、
雄一くんと一緒にみかげちゃんを迎えてくれた雄一くんのお母さん(しかし父親)
がショッキングな事件に巻き込まれて亡くなっています。
このお話の登場人物に
コナンくん がいたら早速調査開始な展開ですが、
残念ながら
コナンくん は出てきません。
じゃあ何か出てくるのかと言いますと、
うなぎパイ が出てきます。わ~お。
大切な人を失ってしまい、深く落ち込んた2人。
そんな中、みかげちゃんは静岡県(伊豆なんだけどね!)へ取材旅行に行くことになります。
そのときの会話がこちら。
「じゃあ、みやげ待ってるから。」
雄一が言った。今からひとりであの部屋へ帰ってゆくのだ。
きっとすぐに草に水をやるのだろう。
「やっぱり、うなぎパイかしら。」
私は笑って言った。街灯の明かりがかすかに雄一の横顔を浮かび上がらせている。
そしてラストで、みかげちゃんは
うなぎパイを買って帰ってくるわけですが
そのへんはやはり読んでほしいので詳しくは語りません。
その代わり、私が好きなシーンを抜粋。
「そうね…私に。」
できることがあったら言ってね、と言うのをやめた。
ただ、こういうとても明るいあたたかい場所で、向かい合って熱いおいしいお茶を飲んだ、
その記憶の光る印象がわずかでも彼を救うといいと願う。
言葉はいつもあからさますぎて、そういうかすかな光の大切さをすべて消してしまう。
うなぎパイの登場するお土産話の少し前にあるシーンなのですが、
ああ、なんかそうだよなあ、と納得してしまいました。
ぼんやり。
暑くなれば傷んだり、忘れていたらくさったり、人間だって生ものです。
4月に入り、環境が変わって緊張したり、ドキドキしたり、毎日がんばっているあなた!
たまには本でも読んでだらだらするお休みはどうでしょう?
うなぎパイと一緒にね~
次の更新は明日です。
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